基準10MHzの味見記録  其の参-え
GPS Time and Frequency Reference Receiver HP 58503A GPSDO 10MHz

動作NGとして引き取った58503Aなのであるが、途中筆者の半年入院があったこともあり、およそ1年掛かりの修理+動作Reviewとなってしまった。


 
58503A外観      Clickして拡大表示 

                       58503Aリアパネル 
      
     電源入力:  AC100V  AC90V〜264V/47Hz 〜 63Hz (改)
     アンテナ入力 N(f)

     10MHz出力 : BNC(f)   (Ch増設可 後述)
     1PPS出力 : BNC(f) 
     Alarm (TTL出力) : BNC(f)
     通信Port:  RS232C D-sub25pin
            Serial No.371A01180

58503A内部の様子  Clickして拡大表示
SW電源修理交換済


    内部は、メイン基板、SW電源部、OCXO(10811-60159) の
 3主要部から構成されている。

動作NGのdebug調査・動作検証・修理

NG品を受け入れCheck
電圧チェックした結果、SW電源の-15V出力が-8V程度
しかなく、Alarmが点灯し、動作停止に陥ってる模様
SW電源:Power-One製MAP55-4003
原因は電解コンデンサの液漏れ劣化、4個程交換してみたが
直らず、SW電源の修理を断念。

        ↓Clickして拡大表示

 MAP55-4003はAC100出力はラベル記載の4出力
であるが、58503Aで必要なのは外付け電源検証では
+5V/2A, ±15V/1Aの3出力が要求される結果であった。




外部電源を使っての58503A動作検証
58503Aで実際使われるのは+5Vと±15Vの3電源に対し、
手持ちに3出力電源hp E3630A (最大+6V/2.5A, ±20V/0.5A)が有ったので試したが、
案の定Power不足で±15Vの電圧設定が不可でAlarm点灯停止
 搭載しているOCXO10811-60159の内部Ovenの電源起動WarmUp時に±15V電源
からの供給電流がおよそ±0.8A必要とされる。WarmUp時のみ電源2台追加で凌ぐと、
その後の定常時
E3630Aのみでも充分。
ということで、アンテナを接続し、約1時間で目出度く無事GPS Lock
一通りの性能検証を実施  結果:OK ということで、本体は異常無し


代替SW電源
手っ取り早い修理あんとしてMAP55-4003を中古を含め
捜したのであるが、高価過ぎて手が出ない。
また+5V, ±15V出力で見合う電流能力のSW電源が
なかなか無い。
調査結果を踏まえ、なんとか漸く
見つけたSW電源がこれ

       ↓
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58503Aに組み込んだSW電源RPT-75C
筆者は手が不自由になった為、バイトで手伝って貰っているD1院生のA君に組み込んで頂いた。コネクタ部の接続改造は見事!



GPS Monitor動作確認 (SatStat, GPScon)       目出度し目出度し、取り敢えず修理成功 通信も動作OK


RS232C通信条件(SatStat, GPScon共通)
baud:9600bps, data:8bit-parity:None-stop:1bit 
D-sub25pin- Dsub9pin CrossCableを使います

Clickして拡大表示 

Symmetoriccom SatStat とGPSConでのSatelite補足状況monitorの様子。


もう少し内部調査探訪



10MHz出力の増設検討と出力Buffer部の詳細
58503Aの10MHz出力は標準で1出力のみなのであるが、内部のメイン基板には10MHz Aと10MHz の2出力分の出力Buffer回路が用意してある。
この辺の内容はZ3801A,Z3805Aで回路、配置パターン同じ設計になっている。 この58503Aでは、B-Buffer部の一部欠品チップ抵抗を付け加えた上で、使われていない
J15 SMBコネクタから10MHz B Outputを増設させることが出来る。 上下写真を刮目して見て、増設改造の参考情報として戴きたい。 何もしないのは勿体無いですね♪ 

 

10MHzの質的検証


58503A 10MHz出力波形 振幅2.1Vp-p, 732mVrms  /50Ω終端時   上記の理由から、Z3801A, Z3805Aと殆んど同じ波形です。


 
             出力10MHz Carrier近傍スペクトル 出力Level 10.3dBm

             出力10MHz高調波比(Harmonics)    2ndに対し-28.4dBc


10MHz出力の周波数安定度確認
 

              周波数短期安定度↑    Allan Deviation σy(τ)

 
             外部電源hp E3630Aで動作時の位相雑音特性↑ (2017.9.25測定)  水色電源ハムノイズ(50Hz高調波)が結構多い


                               
                            修理搭載 SW電源RPT-75Cで動作時の位相雑音特性 (2018.10.7測定)   水色電源ハムノイズが少なくなった(^^v
                                                                                                                    
医療用SW電源EMI対応改善の恩恵かな

10MHz Ch-Bの増設   2020年晩秋追記
 提案はしたもののの長らくサボっていたCh-A/B 10MHz 2出力化の件、関西の某水晶メーカーさんからの問い合わせをきっかけに
実施しました。欠3箇所のチップ抵抗を埋め、J15 10MHz Bから背面のBNCに配線しただけの内容です。
http://www5.omn.ne.jp/~etimellc/inst/hp58503A_2.jpg

ついでに、搭載OCXOも60159から60164に交換してみました。 周波数安定度に若干の不満があったので、ついつい....
外見も回路も殆んど同じです。 違うのは水晶とOven温度の設定値のみなんですね 多分に....


60164に変更しての位相雑音確認


10MHz出力Ch-A/Bでの特性比較です。 同一回路buffer A/B経由のちがいのみなので、当然波形も諸特性も殆んど同じです。
    

Ch-B 10MHzでの周波数安定度の確認結果です。 τ=10secで、漸く-13乗オーダー4を達成してくれました。
60159から60164に替えて、ほんの気持ちだけ安定度が改善した?くらいで特性差異は殆んどありません。
Ovenの交換作業は思いの他大変 所要時間約30分 だったので、60159に戻すのは止め、60164搭載のままとしました。

参考Link
   
 59551A & 58503A Operating and Programming Guide

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