hp 5352B CW マイクロ波 周波数カウンタ搭載Ultra Stable Oven 10811-60211 10MHz OSC修理

周波数が安定せずズレており、どうも壊れると云うことでう取引会社から格安で引き取ったCW Counter 5352B
受入動作確認で、電源通電してみると、周波数カウンタとしての読み込みはするが、1時間はおろか半日経っても読込み周波数が
フラフラしながら下がって行く。 GPSから外部基準として10MHzを入れてあげると、正常に安定読み込み
これはこれはと云うことで5352Bを開け、点検すると... 案の定、この10811-60211君がチンチンに熱くなっていたんですね (^^

10811 OSCは、通電開始して
   Oven Warm Up動作  消費電力 約8W 消費電流0.4A : 約20分 を経て、Oven内部温度約82℃到達し、
   その後、Stable動作(内部温度保持)消費電力 約2W 消費電流0.2A に至るのが正常動作なのですが。。。

当該10811-60211君は、通電後ずうっと、Oven Warm Up動作のままで、
Stable動作に至らないと云う問題症状なのでした。

    

取り合えずの暫定処置して 手持ちの10811-60111(間に合わせではなく厳選特上松品)
を5352Bへ差換え搭載

10811-60211 OSC Debug修理   
実はここからが大変だったのですね 治すのに約2ヶ月も掛かったのです

 10811は、E, D,であろうと-60111, -60211であろうと、中身は全て同じ回路で同じ部品を使っています
しかも、GPSに使っている-60158, -60165以外は全てSingle Ovenなのです。
世間ではDouble Ovenとか、DOCXOとかがもて囃されていますが、ちょい違うんですね。
Oven Heat制御の大電流が発振回路部へCommonLineの脈動Noiseとして影響を及ぼすので、実はあまり宜しく無いんですね。
 さて、10811は型番で何が違うのでせうか?



更に基板を展開すると                  金色に輝く TO-8 PKG 10MHzのご本尊様 なんとΦ18mm デカイ

さて型番で何が違うのか?>  ご本尊の水晶様の出来栄え、仕上がり具合で、特質・特性が大きく異なって来るんですね
例えると人間様の頭脳の出来栄えと同じようなもんです。 hp・Agilentは、水晶単品の検査結果で、各々に適した用途に振り分けて使っています。 
-60211品は Ultra Stable品なので水準選別(100個中2,3個)の特上品 大学で例えると偏差値70以上 旧帝大・早慶レベルの秀才君             
-60111品は通常検査合格品ですが、ある条件与えてあげると、特上選別品に勝る特性を示す規格外天才君も居るのですね (^ ^       


まあ、そんな60211なので、修理格闘に挑んだのです  約2ヶ月間も...
                                                       さて 、基板AssyがDebugすべきOven制御回路部です


10811CrystalOSC_Oparating&ServiceManual 
を片手にdebug検証し、漸く原因が判り、以下の通り修理完了に至りました。 

動作検証
電源起動テストを10回程度繰り返し、その後通電3ヶ月、Ovenの熱暴走が出ないことを確認し、完治と判断。 勿論,周波数安定度は最高クラス





位相雑音 -112dBc/Hz @1Hz Ultra Stableです。  60211単品の位相雑音特性です。

5352B置換TimeBaseの特性
因みに、5352Bに載せ替えた001Option品10811-60111on5370Bの位相雑音はこれです。



元はhp 5370BTimeinterval F-counterに載っていた出自の宜しい奴なんですね。
5370BのTimeBase OUTで測った結果ですので、電源ハムノイズが大きく、Floor Levelも-145dBくらいに上がっていますが....
-110dBc/Hz @1Hz です。 -60111にするのは勿体無いない特上品で、-60211置換にはピッタリなのでした。

この20111は修理工数が随分と掛かってますので、5352Bには戻さず、単品として売却することに決定した次第です。